症状が消えても進行し続ける!?ホントに怖い「梅毒」のお話

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今回は「梅毒」についてのお話。ここのところ話題にのぼる機会が増えたとはいえ、多くの人にとっては遠い世界のことに感じられるかもしれません。

この数年で、梅毒の感染者数は急激に増えています。2008年には200人程度でしたが、今年2016年には1200人以上もの感染が報告されているのだそう。

特に私たちにとって見過ごせないのは、母子感染についてではないでしょうか? 数としては目立つほど増えているわけではありませんが、いつか子どもを授かる可能性を考えれば、決して他人ごとではありませんよね。

さらに梅毒の怖いところは、症状がパッタリと消える時期があること。「もしかして自然に治った?」なんてのんびりかまえていたら、実はカラダの中は大変なことになっていた……なんていうケースもあるのです。

梅毒の怖さ① 小さな傷からカラダに入り込む

梅毒の感染経路ですが、主に輸血と性交渉。今回は性交渉に注目して、お話を進めていきましょう。

梅毒の病原体「梅毒トレポネーマ」は、小さな傷から体内に入り込み、その部分にはしこりができます。コンドームをつけないセックスから感染したなら性器に、オーラルセックスで感染したなら唇まわりに。しばらくたつと皮膚がはがれたり、ただれたり……という症状が出ます。

しかしやっかいなのは、このとき痛みをほぼ感じないこと。ただ皮膚が荒れるだけなら「ちょっと体調が悪いのかな?」程度で済ませてしまいそうですよね。

梅毒の怖さ② 症状が消えても進行し続ける

放っておくと症状は消えますが、自然に治ったワケではありません。このとき病原体は血液に乗って、全身に広がっていきます。それは目に見えないカラダの内側で、着々と感染が進んでいる……ということ。

そこからおよそ1~3ヶ月後に、発熱やだるさを感じるようになります。また皮膚全体が点々と赤くなる「バラ疹」という症状が目立ってきます。

さらにそのまま3年ほどたつと、また症状が消えてしまいます。ここまでで症状が消える期間が2回ありましたが、これを「潜伏梅毒」と呼びます。

梅毒の怖さ③ 症状がさまざま

梅毒の症状ですが、初期は主に肌への異常。そのまま感染が進むと、カラダの内側にも異常をきたしていきます。

感染から10年ほどたったころには、脳の異常があらわれるそう。歩くこともままならないほどの手足のしびれや認知症、心臓や血管が正常にはたらかなくなること、さらに驚くべき症状ですが、性格がゆがむ、視界がぼやける、また支離滅裂な言動などが報告されているとのことです。

このような症状の幅広さから、医師のほうでも診断が難しいケースがあるという事実には驚かされますね。

梅毒で苦しまないために大切な「2つのこと」

梅毒に苦しめられることなく、健康的な生活を送るために大切なことは、大きく分けてふたつあります。

まずひとつは、性交渉のときには必ずコンドームを使うこと。これは梅毒をはじめ、あらゆる性感染症を防ぐのに有効なことです。

もうひとつは、症状を見逃さないこと。今回解説したとおり、梅毒の症状はあらわれたり消えたりを繰り返し、私たちを翻弄するもの。カラダにおかしなことが起きたらすぐに対処するという敏感さを持つことで、梅毒で苦しむ生活を避けられるのではないでしょうか?

文:カサイユウ

【参考資料】「グローバル感染症」日経メディカル(2015年刊行)、東京都感染症情報センター » 梅毒の流行状況(東京都 2016年)

「この記事について」
特定の治療方法や医学的な考え方・評価をすすめるものではありません。
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